Q&A① 《筆の手入れ・保存について》


   この度は、楽々堂の筆をお求めいただき有難うございました。

   「筆の手入れ・保存について」の印刷物は特に用意しておりませんが、職人(製作者)
 の立場から注意事項等を箇条書きにて書かせてもらいます。

 ◆まず、筆に最初に墨をつける時は、空気が残らぬようしっかりと含ませる。墨の含ませが
  不充分だと、書く時、そこから筆が割れる原因となる。いずれにしても、大筆は、墨が少なく
  なると何本にも割れてくる傾向は元々あるにはあるが・・・。

 ◆使い終わったら、水道の流れる水で充分に墨を洗い流す。筆が大きいので墨がたっぷり
  含まれており、結構時間がかかる。終わりに、手も使って、軸と筆(毛)の境の所を押さえ
  る感じで良くもむと、更に墨が出てくる。

 ◆墨の出が無くなったら、書き損じた紙か、重ねたティシュペーパーで、水を拭き取る。
  (タオルでも良いが汚れるので専用のものを。)

 ◆水気が無くなったら、筆の形にすぼめるより、少し広げる感じで乾くのを助けてやる。
  目の粗いクシを掛けるのも効果あり。そして、何かに吊るしておく。

 ※どんな筆でも、手入れ保存の基本は「墨を良く洗い流し、なるべく早く乾かす」です。たまに、
  「水を含ませたまま吊るしておくと、毛細管現象で墨が出てくるから、そうする方が良い」と
  いう人がおられますが、感心しません。何故なら、早く乾かさないと軸の中まで水気が入って
  しまい、そこから筆毛が腐ってしまうからです。特に大きく太い筆は、夏場など、なかなか乾か
  ない時はそうなりますから注意が必要です。

  筆は風通しの良い場所に吊るしておくのがいいと思います。もし、箱に入れて保存する場合は、
  完全に乾いたものを密閉できる箱(プラスチックの入れ物が最適、紙箱は不充分)に入れ、
  中に防虫剤を入れるといいです。

    以上、筆職人の私見を述べさせてもらいました。参考にせてください。        

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